就労継続支援B型事業所の役割とは?利用を検討している方へのわかりやすい解説

障害があって一般企業で働くことが難しい方にとって、「働く場がある」「自分のペースで取り組める」という環境はとても大切です。その支えとなるのが「就労継続支援B型事業所」です。この記事では、就労継続支援B型の基本的な仕組みや役割、利用の流れ、サービス内容をわかりやすく紹介します。
就労継続支援B型事業所とは?
就労継続支援B型事業所は、障害のある方が無理のない範囲で働きながら、生活リズムや社会参加の機会を整えるための福祉サービスです。B型は「雇用契約を結ばずに利用できる」ことが大きな特徴で、体調や能力に合わせて柔軟に通所できます。
たとえば、週に数日だけ通う人や、1日2〜3時間だけ働く人もおり、自分のペースを大切にしながら社会とのつながりを持てる場となっています。
対象となる方
就労継続支援B型を利用できるのは、主に次のような方です。
- 一般企業に就職するのが難しい方
- 就労継続支援A型や一般就労から離れ、働くリズムを取り戻したい方
- 年齢や体力の面から長時間の勤務が難しい方
特に「働きたい気持ちはあるけれど、フルタイム勤務や雇用契約を結ぶのは不安」という方に向いています。
就労継続支援B型事業所の役割
就労継続支援B型の役割は、単に仕事を提供するだけではありません。
社会参加の機会をつくる
外に出て仲間と一緒に活動することで、孤立を防ぎ社会とのつながりを持てます。
生活リズムを整える
決まった時間に通所し、作業や訓練に取り組むことで、規則正しい生活を維持できます。
働く力を身につける
作業を通じて集中力や協調性を育み、将来的にA型や一般就労へのステップアップを目指せます。
心の安定を支える
支援員が日々の体調や心の変化を見守り、安心できる環境を提供します。
提供される仕事内容と訓練内容
B型事業所では、地域や事業所ごとに異なる仕事が用意されています。代表的な例を挙げると次の通りです。
- 軽作業(シール貼り、部品の組み立て、袋詰めなど)
- パソコン作業(データ入力、簡単なデザインなど)
- 清掃やリサイクル作業
- 農作業や手工芸品の制作
- 喫茶や販売補助
作業を通じて「働く感覚」を養いながら、同時に自分の得意なことや向いている分野を見つけられるのも魅力です。
工賃(給与)について
就労継続支援B型事業所では、雇用契約を結ばないため「給料」ではなく「工賃」という形で収入が支払われます。全国平均は月に1万5千円前後と高額ではありませんが、「働いた成果が形になる」という実感を得られる点が重要です。
工賃は事業所の作業内容や受注量によって差があり、次のような工夫で高めている事業所もあります。
- 自主製品の販売(アクセサリーや雑貨など)
- ITやデザインなど需要の高い作業の導入
- 地域企業との連携による仕事の確保
利用開始までの流れ
就労継続支援B型を利用するまでの一般的な手順は次のようになります。
- 相談支援事業所や自治体に相談
障害福祉サービス受給者証の取得に向けて手続きを進めます。 - 事業所の見学・体験
実際の雰囲気や作業内容を確認し、自分に合うかどうかを見極めます。 - 利用契約
サービス受給者証をもとに、事業所と契約を結びます。 - 通所開始
週何日・何時間から始めるかを調整し、自分のペースでスタートできます。
就労継続支援A型との違い
就労継続支援A型とB型はよく比較されますが、次のような違いがあります。
項目 | A型 | B型 |
---|---|---|
雇用契約 | あり | なし |
給与形態 | 最低賃金以上の給与 | 工賃(平均1.5万円前後) |
勤務時間 | 原則フルタイムや長時間勤務 | 数時間〜週数日と柔軟 |
対象者 | 比較的安定して働ける方 | 体力・体調に配慮が必要な方 |
A型は「働く場」と「労働者としての保障」が得られる一方、B型は「より柔軟で安心できる働く練習の場」という役割を持っています。
まとめ
就労継続支援B型事業所は、障害があっても自分らしく働き、社会と関わるための大切な居場所です。仕事内容や工賃は事業所によって異なりますが、共通しているのは「安心して通える環境」と「自分のペースを大切にできる仕組み」です。
就労継続支援B型を利用することは、働く力を少しずつ育て、社会参加を広げる第一歩になります。利用を考えている方は、まずは気になる事業所に見学や体験を申し込んでみてください。行動を起こすことで、自分に合った新しい環境や可能性が見えてきます。