就労継続支援B型事業所の利用資格と基本解説

障害があって一般企業での就労が難しい方にとって、「就労継続支援B型事業所」は大きな支えとなる存在です。どのような人が利用できるのか、利用資格やサービス内容、利用までの流れについて知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。本記事では、就労継続支援B型事業所の基本をわかりやすく解説し、安心して利用を検討できるようにまとめました。
就労継続支援B型事業所とは
就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)とは、障害のある方が自分のペースで働くことができる場を提供する福祉サービスです。厚生労働省が定める障害者総合支援法に基づいたサービスで、工賃を得ながら就労体験や作業訓練ができます。
B型事業所は雇用契約を結ばない形態のため、体調や生活リズムに合わせて柔軟に通えるのが特徴です。
就労継続支援B型の利用資格
B型事業所を利用できるのは、主に次のような方です。
- 一般企業での就労が困難な障害のある方
- 就労継続支援A型を利用することが難しい方
- 18歳以上で、障害福祉サービス受給者証を取得している方
- 医師や自治体の判断により、福祉的な就労支援が必要と認められた方
年齢制限は基本的にありませんが、障害特性や生活状況に応じて市区町村が利用を認めるかどうかを判断します。つまり「働きたい気持ちはあるが、フルタイムや厳しい勤務条件には対応できない」という方に適したサービスです。
B型事業所で提供されるサービス内容
B型事業所では、働くことを通じて生活リズムを整えたり、社会参加を進めるためのサポートが行われています。主なサービスは以下のとおりです。
作業内容の例
- 軽作業(シール貼り、袋詰めなど)
- パソコン作業(データ入力、デザイン補助など)
- 農作業や清掃業務
- 製品の組み立てや加工
訓練・支援内容
- 基本的な生活習慣の安定(通所リズムづくり)
- 社会的スキル(あいさつ、報連相)の習得
- 就職に向けたステップアップの支援
- 創作活動や自主製品づくりによる自己表現
このように、作業を通じて無理なく「働く力」を高めていける仕組みです。
工賃(給与)について
B型事業所では雇用契約を結ばないため、受け取るのは「賃金」ではなく「工賃」と呼ばれます。全国平均で月1万5千円前後とされていますが、事業所や仕事内容によって幅があります。
高い収入を得る場所というよりも、社会参加やスキル習得の機会として位置づけられているのが特徴です。工賃に加えて障害年金や生活保護などの制度を併用し、生活を安定させる方が多くいます。
就労継続支援A型との違い
B型事業所と混同されやすいのが「就労継続支援A型」です。違いを表にまとめました。
項目 | A型事業所 | B型事業所 |
---|---|---|
契約形態 | 雇用契約あり | 雇用契約なし |
工賃・給与 | 最低賃金以上 | 工賃(数千〜数万円) |
対象者 | 比較的安定して働ける方 | 雇用契約が難しい方 |
年齢 | 主に18歳以上65歳未満 | 年齢制限なし |
通所の柔軟性 | シフト勤務が基本 | 体調に合わせやすい |
A型は「安定して長時間働ける人向け」、B型は「自分のペースで無理なく働きたい人向け」と覚えると理解しやすいです。
利用開始までの流れ
B型事業所を利用するには、次のような手順を踏むのが一般的です。
- 相談支援事業所に相談
自治体や相談支援専門員に利用希望を伝えます。 - 見学・体験
実際に事業所を訪れて雰囲気や作業内容を体験します。 - サービス等利用計画の作成
自分に合った支援内容を整理し、計画を作ります。 - 障害福祉サービス受給者証の申請・交付
市区町村に申請し、受給者証が交付されます。 - 利用開始
契約を結び、通所を始めます。
このように、利用開始までにいくつかのステップがありますが、支援員や家族がサポートしてくれるので一人で進める必要はありません。
まとめ
就労継続支援B型事業所は、障害のある方が無理なく働く力を育てられる大切な場所です。利用資格は「雇用契約を結ぶことが難しいが、働く意欲がある方」とされており、年齢や障害の種類を問わず多くの方が対象になります。A型との違いや工賃の特徴を理解して、自分に合った形で活用することが大切です。
安心できる環境で少しずつ力を伸ばしていきたいと考えている方にとって、B型事業所は大きな選択肢となります。
就労継続支援B型事業所の利用を検討している方は、まずはお近くの事業所に見学や相談をしてみてください。小さな一歩が、新しい働き方や生きがいにつながります。