現代社会では、デジタル技術の進化とともに、eスポーツとよばれるスポーツが急速に普及しています。
一方で、障害を持つ方々の社会参加を支援するために、福祉業界ではさまざまな取り組みが行われています。そのうちのひとつが就労継続支援B型作業所です。
一見離れた関係のように思われるものですが、これら2つは実は意外と近い関係にあります。
本記事では、就労継続支援B型作業所でeスポーツがどのように取り入れられ、その取り組みが利用者にどのような影響を与えるのかを解説します。
- JeSUがJOCの準加盟団体に!ニュースから読み取る障害福祉の可能性【2024年6月】
- eスポーツ市場について!日本と世界の比較!
- 法規制の影響!?日本eスポーツ市場がクリアすべき課題とは?
- eスポーツってどんなもの?就労継続支援B型の作業としてなぜ人気があるの?
- 就労継続支援B型作業所とeスポーツの接点は?利用者にどんなメリットがあるの?
- eスポーツにはどのような種目がある?就労継続支援B型作業所でも取り組める内容も紹介!
- 就労継続支援B型作業所で実際に行われているeスポーツの事例を紹介!
- 共に成長!就労継続支援B型ワークスペースクローバーでのeスポーツチームの結成と目標設定!
- さいごに|eスポーツ作業に興味のある方は就労継続支援B型事業所ワークスペースクローバーへ!
JeSUがJOCの準加盟団体に!ニュースから読み取る障害福祉の可能性【2024年6月】
2024年6月11日、ビッグニュースが飛び込んできました。一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)の準加盟団体として承認されました。
2026年に名古屋で開催される「第20回アジア競技大会」でも、eスポーツは正式競技として実施されることが決定しています。
JeSUは、開催国の統括競技団体として、1人でも多くの日本人金メダリストをeスポーツから排出するために、競技力の向上にも力を入れていくことを発表しました。
このニュースはeスポーツ界にとって大きな進展ですが、障害者支援にとっても影響を与える重大な出来事です。
JeSUは、eスポーツの発展と普及のため、他のスポーツ団体との連携を強化することでしょう。これにより、特別な支援や設備の提供など、障害者のeスポーツ参加のハードルが下がることを期待します。
eスポーツは身体的な能力に依存しない部分が多いため、将来的には健常者と障害者が共に競技をする理想的なスポーツとして、今までにない可能性を秘めています。
JeSUとJOCが連携し、この可能性を最大限に引き出してくれることを期待しつつ、eスポーツが、障害を持つ人々の社会参加をより一層深めるための一助となることを願っています。
eスポーツ市場について!日本と世界の比較!
eスポーツは、その普及の速さと規模の大きさから、近年のエンターテイメント業界で最も注目されている分野の1つです。
しかし、その市場規模や人気のジャンル、法規制など、国や地域によって大きな違いがあります。
ここでは、日本と海外のeスポーツ市場を比較し、その違いと特徴を探ります。
eスポーツは、その普及の速さと規模の大きさから、近年のエンターテイメント業界で最も注目されている分野の1つです。
しかし、その市場規模や人気のジャンル、法規制など、国や地域によって大きな違いがあります。
ここでは、日本と海外のeスポーツ市場を比較し、その違いと特徴を探ります。
eスポーツ市場規模比較『日本は78.4億円!』
日本のeスポーツ市場規模は、世界のeスポーツ先進国に比べると大きいとは言えません。
しかし、ここ数年で日本のeスポーツ市場規模は着実に広がっています。一方、海外ではアメリカが世界最大のeスポーツ市場を誇り、中国も世界第2位の市場規模を持っています。
世界各所でeスポーツの大会が開催され始めたのは2000年頃からです。日本では認知度の浸透が遅かったため、よく耳にするようになったのはここ数年です。
2018年に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立され、以降は日本国内の企業もeスポーツチームとスポンサー契約の締結や、大会の開催などさまざまな業界が参入を進めてきました。
日本国内のeスポーツ市場規模は、2021年には78.4億円でした。そして、2022年には前年比127%の125億円に到達し、2025年には210億円を超えると予測されています。
一方、海外のeスポーツ市場規模は2022年で14.5億米ドル(約2189億円)、2023年には17.2億米ドル(約2597億円)でした。2030年には67.5億米ドル(約1兆192億円)に成長する見通しと発表されました。
これらの情報から、日本国内のeスポーツ市場規模は急速に成長していますが、まだ海外の市場規模に比べて小さいことがわかります。
しかし、その成長速度は非常に高く、今後もその拡大が期待されています。
人気のeスポーツジャンル『日本では国内産が上位』
国によって人気のeスポーツジャンルやゲームタイトルはさまざまです。以下では、日本と海外の人気タイトルを比較します。
日本 | 1位:大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL 2位:ストリートファイターⅤ 3位:スプラトゥーン2 |
アメリカ | 1位:League of Legends 2位:Counter-Strike: Global Offensive 3位:Dota 2 |
韓国 | 1位:League of Legends 2位:Overwatch 3位:StarCraft |
フランス | 1位:FIFA 2位:Call of Duty 3位:Counter-Strike: Global Offensive |
ドイツ | 1位:Call of Duty 2位:Fortnite 3位:FIFA |
世界的に見ると日本は国内産タイトルの人気が根強く、他国と比べて異彩を放つ結果となっています。
表外ではあるものの、スポーツゲームのFIFAやシューティングゲームのCall of Dutyなどは日本国内でも人気のあるタイトルです。
世界的に人気のあるジャンルはシューティング系であることが見てとれますが、日本では格闘系が強いのも注目のポイントでしょう。
法規制の影響!?日本eスポーツ市場がクリアすべき課題とは?
日本のeスポーツ市場は、成長と発展の道のりにおいて、一部の法規制による影響を受けています。
その中でも、「景品表示法」は、eスポーツ大会の賞金額に制限を課すことで、市場の成長を阻害する一因ともなっています。
具体的には、eスポーツ大会を開催した際の賞金が「景品表示法」における「景品等」に該当すれば賞金額の上限が10万円に制限されるというものです。
この法規制がプロのeスポーツ選手が生計を立てることを困難にし、新たな才能がこの分野に参入することを妨げています。
また、大規模なeスポーツイベントの開催を阻害し、日本のeスポーツシーンの発展を遅らせるものでもあります。
この問題に対する解決策として「プロライセンス」の導入があります。大会への出場を仕事と捉え、「仕事の報酬」とみなすものです。
まだまだ議論の余地がありそうですが、eスポーツを取り巻く環境が今後改善されていくことを願うばかりです。
このほか、刑法による賭博罪や風営法など、クリアしていかなくてはならない法律上の問題があります。
eスポーツってどんなもの?就労継続支援B型の作業としてなぜ人気があるの?
eスポーツは、コンピュータゲームを競技として行うスポーツの一種です。
言葉そのものは2000年頃に海外で生まれ、その競技人口は年々増加しています。
プロのeスポーツ選手は、高度な技術と戦略を駆使して競い合い、その試合は世界中の視聴者にライブでの配信がされるなどし、eスポーツが若者を中心に広く受け入れられていることがうかがえます。
今後はオリンピック種目の検討がされるなど、社会全体にも強い影響を与えているようです。
eスポーツが人気の背景
eスポーツの人気は、技術の進歩とインターネットの普及によるものが大きいと考えられます。
まず技術の進歩についてですが、近年のコンピュータ技術の発展により、ゲームのグラフィックは驚くほどリアルになり、操作性も大幅に向上しました。
プレイヤーが得られるゲーム内での体験はより現実に近いものになり、深い没入感を得ることができます。
次に、インターネットの普及について。今やゲームは近しい人と遊ぶものに限らず、世界中のプレイヤーとリアルタイムで繋がることが可能となっています。
ゲームを通じて世界と繋がれるということで、全世界のプレイヤーとの競争という新たな次元を持つようになりました。
インターネットの高速化が進んだことで試合の視聴や配信も容易になり、プロのeスポーツ選手の試合をライブで視聴することもできます。
趣味や娯楽であったゲームから、視聴者を引きつけるエンターテイメントへと進化したのです。
これにより、eスポーツは急速に人気を集めています。
eスポーツをはじめるきっかけ
eスポーツを始めるきっかけは人それぞれですが、共通する要素としてはゲームそのものへの興味というのが大きな動機ではないでしょうか。
ゲームの世界観やプレイに魅了され、そのゲームをより深く理解したい、上達したいという欲求がeスポーツへの動機につながることがあります。
例えば、ゲーム内のランキング上位に入り、いつのまにか名前が知られるようになった。競い合ううちにコミュニティが出来上がったなどというのも、eスポーツのきっかけとして十分考えられるでしょう。
就労継続支援B型作業所とeスポーツの接点は?利用者にどんなメリットがあるの?
就労継続支援B型事業所は、障がいを持つ人々が社会参加を続けるためのさまざまな支援を提供しています。
一方で、eスポーツはその普及と共に、多様な人々に新たな機会を提供しています。
これら2つが交わるポイントを見ていきましょう。
就労継続支援B型作業所とは?
就労継続支援B型作業所とは、障害者総合支援法に基づいて就労継続支援B型事業に関連したサービスを提供している事業所です。
障害を持つ方々が社会参加を続けるため、また自立した生活を送ることを目指して、そのための職業訓練などを提供しています。
施設では、利用される方の能力や興味に合わせた作業を提供しており、自己肯定感を得ることができます。
就労継続支援B型事業所でeスポーツに取り組む施設は、ごく最近見られるようになりました。
eスポーツを通じて、他者とのかかわり方を学んでもらったり、興味を持ち続けて作業を行ってもらうなどの取り組みが見られます。
eスポーツにはどんなメリットがあるか
就労継続支援B型作業所にとってのeスポーツは、単なるエンターテイメント以上のもので、施設を利用されている方に下記のようなメリットをもたらします。
- 目的や意欲をもつことができる
- 収入につなげられる
- 興味をもってもらいやすい
これらのメリットは、就労継続支援B型作業所を利用されている方の生活に直接的な影響を与え、その方が今後の人生を考えるきっかけに繋がります。
目的や意欲をもつことができる
eスポーツは競技性を持つゲームであるため、自然と目標を設定し、その達成に向けて努力することができます。
例えば特定のランクに到達する、大会で優勝するなど、具体的な目標を設定することが可能です。
収入につなげられる
プロのeスポーツ選手は、大会での優勝や高い順位により賞金を得ることができます。
一部のプロ選手はスポンサーや広告起用などを通じて収入を得ています。
また、eスポーツは動画配信プラットフォームの普及と共に、新たな収入源にもなっています。
プレイヤーは自分のゲームプレイを配信し、視聴者からの送金や広告収入を得ることができます。
興味をもってもらいやすい
働きたいという意欲はあるけれども、具体的に何をしたいのかが見つからないという方々にとっても、eスポーツは新たな可能性を開くかもしれません。
eスポーツは、その競技性とエンターテイメント性から、多くの人々にとって楽しみながら取り組むことができる活動です。
ゲームプレイを通じて、自分自身の成長を感じることができ、それがさらなる意欲を引き出すことがあります。
目標を達成したときの達成感は、自己肯定感を高め、新たな目標に向かって努力する意欲を引き出します。
eスポーツにはどのような種目がある?就労継続支援B型作業所でも取り組める内容も紹介!
eスポーツは多岐にわたるジャンルとゲームタイトルを含みます。
そのなかでも人気のある種目は、「FPSゲーム」「格闘ゲーム」「パズルゲーム」などです。
この他にも多数のジャンル・ゲームタイトルがあり、今後も新たなゲームタイトルの大会が検討されています。
ここで紹介したジャンルについて、どのようなゲームなのかを紹介します。
FPSゲーム
FPS(First-Person Shooter)ゲームは、プレイヤーが主観視点でゲームを進めるシューティングゲームです。
高度な反射神経と戦略的思考が求められます。
格闘ゲーム
格闘ゲームは、キャラクター同士が1対1で戦うゲームです。
キャラクターの動きや技を理解し、相手の行動を予測する能力が重要です。
パズルゲーム
パズルゲームは、特定のルールに基づいてパズルを解くゲームです。
論理的思考と問題解決能力が鍛えられます。
就労継続支援B型作業所で実際に行われているeスポーツの事例を紹介!
就労継続支援B型作業所を利用する方で、実際にeスポーツに取り組み、自身に起きた変化などについてインタビューさせていただきました。
marinさん:FPSゲーム
就労継続支援B型作業所でeスポーツ(主にFPSゲーム)に取り組むmarinさんは、施設を利用し始めてからの生活リズムの変化と、意識の変化を話してくれました。
元はひきこもりがちな状態であり、動画配信を眺めて過ごす日々だったそうです。
eスポーツに取り組む就労継続支援B型作業所の利用を始めたことで、少しずつ外に出ることができるようになり、今では毎日施設を利用することができています。
不規則であった睡眠も、リズムが整ってきたことで夜にしっかりと眠ることができているとのことです。
ゲームを楽しむこと、共通の話題で他者とコミュニケーションをとることなど、少しずつ意識に変化が芽生えてきています。
marinさんの目標は、「ゲームで収入を得ること」だそうです。
その目標のために、就労継続支援B型作業所でのさまざまな訓練に取り組まれています。
ゼシア・ライブさん:格闘ゲーム
ゼシア・ライブさんは、ある就労継続支援B型作業所のムードメーカーで、いつも賑やかな空気をふりまいています。
しかし、いざゲームプレイを始めると驚異的な集中力を発揮します。
ゼシア・ライブさんには施設を利用する前の状況と今の変化をうかがいました。
他者との適切なコミュニケーションをとることが苦手であり、それを本人も自覚していたようですが、今では比較的適切な距離感をもって接することができていると話されました。
「ゲームを通じて共通の話題をもち楽しく過ごす」「ゲームに取り組むときには気持ちの切り替えを行い集中して取り組む」このような変化が少しずつ起き、結果的に本人の気持ちの安定につながっているようです。
ゼシア・ライブさんの今の夢は「大乱闘スマッシュブラザーズ(スマブラ)で日本一になること」です。
夢に向かって努力している彼を作業所側は応援しています。
共に成長!就労継続支援B型ワークスペースクローバーでのeスポーツチームの結成と目標設定!
eスポーツは誰でも参加できて、楽しみながら訓練にもつながる。ワークスペースクローバーでも大注目の取り組みです。
ここからは、就労継続支援B型作業所でのeスポーツチームでの目標設定を考えてみましょう。
利用を開始したら、まずチームを作ることから始まります。その後はみんなで一緒にゲームの戦略を考えたり、技術を磨くことに専念します。
個々のスキルだけでなく、チームワークやコミュニケーション能力を育てる絶好のチャンスと捉えてください。
次は目標設定です。明確な目標を設定することでチームの一体感は高まり、モチベーションもアップ。
目標は大会での勝利だけじゃなく、特定のスキルの向上であったり、新たな戦略の開発など、具体的で達成可能なものがいいですね。
就労継続支援B型作業所でのeスポーツチーム活動は、みんなが自分自身をしっかりと表現しつつ、自信を持つことができるような環境を作ります。
eスポーツを通じて、新たなスキルを身につけ、豊かな人生を送ることができるよう、これからも支援していきます。
さいごに|eスポーツ作業に興味のある方は就労継続支援B型事業所ワークスペースクローバーへ!
本記事では、eスポーツの人気の背景から就労継続支援B型作業所における役割やメリット、導入事例などについて解説しました。
eスポーツは、障害を持つ人々が社会参加していくためのひとつのきっかけとして、就労継続支援B型事業所でも取り組まれています。
今やゲームは、家にこもりがちな方が外出するきっかけであったり、コミュニケーションのきっかけとしても見直されています。
そして、就労継続支援B型事業所で取り組まれるeスポーツは、利用する方にとって、新たな可能性を開くチャンスとなるかもしれません。
京都府京都市内にお住いの障害者手帳をお持ちの方でeスポーツに興味のある方はぜひ、下記の入力フォームから就労継続支援B型作業所ワークスペースクローバーまでお問い合わせください。
【コンテンツ制作者】
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