現代社会において、引きこもりという問題が深刻化しています。
特に、ゲームばかりしている引きこもりが増えているとも言われています。
しかし、その一方でゲームが持つ可能性も見逃せません。
近年のeスポーツは社会経済に大きな影響を与え市場規模も拡大しています。
本記事では、引きこもりがゲームばかりの生活になる背景と、その解決策として就労継続支援B型事業所におけるeスポーツ作業がどのように活用できるのかについて解説していきます。
社会現象としての引きこもり!ゲームばかりの生活実態を知る!
引きこもりは社会問題として以前から注目されていますが、スマートフォンの進化による手軽なゲーム利用、有料電子くじ(ガチャ)によるギャンブル性などから、近年では特にゲームばかりする引きこもりが増えているのではと懸念されています。
引きこもりを家族にもつ方の声のなかには、「ゲームが引きこもりの原因ではないか」「ゲームばかりの生活が引きこもりの長期化をうながしているのではないか」などが見受けられ、ゲームそのものへの悪評も目立つようです。
引きこもりの背景には様々な要因が存在します。
そして就労継続支援B型作業所では、そのような引きこもりの方を対象とした支援を行っています。
まずは、引きこもりとゲームの関係性、社会がゲームにもつ誤解について触れていきます。
引きこもりがゲームばかりになる理由
引きこもりとは、学校や職場など社会的な場に参加せず、自宅で過ごす時間が長い方々のことを指します。
生活状況としてはゲームばかりに没頭しており、現実世界から逃避する傾向が見られます。
この理由として考えられるのは、仮想世界が現実世界のストレスや困難から一時的な逃避先となっているためです。
ゲームはエンターテイメントの一種であり、ストレス解消や暇つぶしに利用されますが、過度にゲームばかりの生活では日常生活に支障をきたす可能性があります。
しかし、勘違いしないでいただきたいのは、ゲームそのものが引きこもりを引き起こすわけはないということです。
ゲームはあくまで手段のひとつであり、引きこもりの背景には、社会的な孤立、学校や職場での問題、精神的な問題など、さまざまな要因が存在します。
これらの要因が絡み合って引きこもりが発生し、その結果としてゲームばかりの生活になると考えられます。
引きこもりとゲームの関係性は複雑であり、一概にゲームだけが悪いとは言えません。
ゲームの利用方法や、それに対する理解を深めることも必要です。
ゲームに対する社会の誤解
ゲームはしばしばネガティブなイメージで捉えられがちです。
特に引きこもりはゲームばかりしているというイメージが強いです。
しかし、ゲームはコミュニケーションツールとして、また学習ツールとしても利用されています。
否定だけではなく、どのように利用するか考えることも重要なのではないでしょうか。
ゲームが持つポジティブな側面は、「ゲームが引きこもりや社会的孤立を引き起こす」というネガティブなイメージによって、しばしば見過ごされてしまいます。
この誤解を解くためには、ゲームの健康的な利用方法や教育的な価値について理解していくことが大切です。
就労継続支援B型においては、eスポーツと連動して社会復帰支援を行っている作業所も存在します。
引きこもりになったきっかけや今不安に思うこと
引きこもりになるきっかけや現在抱える不安はそれぞれ違いますが、厚生労働省のデータをもとに表にしました。
引きこもりになったきっかけ | 現在抱える不安 |
不登校 職場になじめなかった 就職活動がうまくいかなかった 人間関係がうまくいかなかった 病気 受験に失敗した 大学になじめなかった | 家族に申し訳ないと思うことが多い 生きるのが苦しいと感じることがある 集団の中に溶け込めない 死んでしまいたいと思うことがある 絶望的な気分になることがよくある 大声を上げて怒鳴り散らすことがある 人に会うのが怖いと感じる |
主に人間関係の悩み、将来、自己肯定感の低さ、孤独感といったものに不安を感じているようです。
きっかけと不安。これらの要因が複雑に組み合わさることで、引きこもりの長期化や二次的疾病にもつながるものと考えられます。
特に、孤独感からのゲーム依存についてですが、対人関係能力が低い人ほど自分がどのように受け取られるかという心配や恐れに気をとられます。
その結果として、顔の見えない相手との関わりや得意分野での成功体験を求め、ゲームへの依存が高くなるという傾向にあるようです。
オンラインゲームのコミュニティ!?引きこもりが安心できる居場所とは?
先に記述したように、オンラインゲームの世界は現実世界からの一時的な逃避先となり、引きこもりがゲームばかりに没頭してしまう理由の1つです。
この世界では、自分とは異なるキャラクターとして生活し、現実世界の問題を一時的に忘れ去ることができます。
また、ゲーム上が引きこもりにとってのコミュニケーションの場であることも見逃せません。チャットを通じて他のプレイヤーとコミュニケーションを取ることができるのです。
現実世界での生活がうまくいっていない人にとって、オンライン上の友達は気を許して会話をすることのできる唯一の存在である可能性もあります。
さらに、ゲームばかりに没頭する理由の1つとして、ゲーム内での自己実現が考えられます。
プレイを通じて、他のプレイヤーからの称賛を受けることによって、承認欲求が満たされます。これは現実世界で得られない達成感となるでしょう。
子どもがゲームばかりの生活を送ることを良しとしない気持ちは十分に分かりますが、このような環境であるならば、ゲームを取り上げてしまうなどの選択はとるべきでないでしょう。
例えば、親子で一緒にゲームをするというアプローチも有効な手段となることがあります。
引きこもりとの関連はありませんが、親子間のコミュニケーションを改善する一例として、映画やドラマにもなった「光のお父さん」という実話があります。
この映画は、親の気持ちを知るために子どもがゲームに誘い、絆を深めていくというお話です。互いの理解を深めることに焦点を当て、ゲームの持つ力を描いた作品として印象深いです。
親子間で共通の話題や趣味をもつことは、社会生活に悩みを持つ子どもにとって、新たな安心できる居場所を作り出す可能性があります。
引きこもり脱却の秘訣!乗り越えた人の共通点とは?
引きこもりを脱却できた人々の事例は実にさまざまです。自力で解決した人もいれば、ちょっとしたことをきっかけに改善した人もいます。
中には一部共通する姿勢も見られますので紹介します。それは何かというと、自分を理解することと変えていく意欲、そして適切な支援を受け入れるということです。
- 自分を理解する
- 自分を変えていく
- 適切な支援を受け入れる
まず、自分を理解することは引きこもりを脱却するためにも重要なことです。自分を客観的に見つめなおすことで、引きこもり問題について責任を持ち、行動や思考を変えていけます。
何が原因で引きこもりになってしまったのか。引きこもりの状態を維持してしまう理由は何なのか。これらが分かってくると、自分を変えようとする意欲も持てるようになります。
最後に、適切な支援を受け入れるというのも必要なことです。家族や友人、専門家や支援団体からの支援を受け入れることで、問題解決へのプレッシャーを軽減します。
不安をひとりで抱え込まず、誰かに相談してみる。相談窓口などに話をしてみるなどすれば、心の荷物も軽くなります。
ゲームばかりの引きこもりでも就労継続支援B型作業所のeスポーツ参加をきっかけに社会復帰を目指せる!
ゲームばかりの生活からの脱却と社会復帰のひとつの手段として、eスポーツが注目されています。
eスポーツとは、競技性を持つゲームを通じてプレイヤーが技術や戦略を競うスポーツの一種です。
eスポーツにはさまざまな魅力的な側面がありますが、ここでは就労継続支援B型作業所が実際に取り組む「引きこもりからの脱却」への考え方と取り組みについて解説していきます。
引きこもりの特徴
引きこもりの背景には様々な特徴や要因が存在します。
ゲームばかりが悪いわけではないと伝えてきましたが、悪い影響についても紹介しますので、理解を深めるために役立ててください。
主に目立つ引きこもりの特徴を紹介します。
- 社会的孤立
- 現実逃避
- 日常生活の支障
就労継続支援B型作業所では、これらの特徴を深く理解しており、適切な支援を提供しています。
そうすることで、引きこもりという問題に対する理解を深め、適切な支援策を考えることができるようになります。
さらに詳しく見ていきましょう。
社会的孤立
引きこもりの方々は、学校や職場などの社会的な場から孤立していることが大半です。
理由としては、人間関係のトラブルやコミュニケーションの困難さから来ることが多いです。
コミュニケーションが困難である原因はさまざまな理由が考えられます。
- 社会的スキルの欠如
- 自意識過剰
- 自己評価の低さ
- うつなどの精神的な問題 など
これらを理由に孤立を経験し、コミュニケーションをより難しくしている可能性があります。
しかし、理解と適切な支援があれば、これらの問題は克服することが可能です。
現実逃避
引きこもりの方はゲームばかりの過度な現実逃避によって、健康にも悪い影響がでている場合があります。
ゲームは、自分とは異なるキャラクター、現実とは異なる世界を体験させてくれて、現実世界の問題から一時的に逃れることができます。
そのため、現実逃避の手段として利用されやすいです。
しかし、この現実逃避が過度になると現実世界での生活に支障をきたす可能性があります。
例えば、仮想世界で得られる達成感や報酬感が、現実世界での努力に対する達成感を上回ることで、本来生きるべき現実世界への関心を失ってしまいます。
ゲームばかりの生活によって生活リズムが乱れて健康に悪影響を及ぼすこともあります。
このように、現実逃避は一時的なストレス解消手段である一方で、過度になると生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
日常生活の支障
ゲームばかりの生活は、日常生活にさまざまな支障をきたす可能性があります。
下記に、その具体的な例をいくつか挙げます。
- 生活リズムの乱れ
- 身体的な健康問題
- 精神的な健康問題
- 人間関係への悪影響
ゲームばかりの生活によって、睡眠時間の不足や昼夜逆転など、生活リズムに影響を及ぼす可能性があります。
それらが長く続いた結果、身体や精神への負荷がかかり、肩こりや腰痛、視力低下、運動不足による肥満や生活習慣病、うつや不安障害などを引き起こします。
ゲームの健康的な利用方法を知ることや、現実世界での問題に対処するための支援が必要です。
ゲームがもつ可能性
ゲームをプレイすることは単に遊ぶだけではなく、仮想世界での経験を通じてスキルを磨くこともできます。
eスポーツを導入している就労継続支援B型作業所では、引きこもりの方の特性を深く理解し、ゲームがもつ可能性から引きこもり脱却に向けた支援を提供しています。
下記にゲームがもつ具体的な可能性を3つ挙げます。
- 問題解決のスキル
- チームワーク
- 忍耐力と持続力
問題解決のスキル
ゲーム内で起こるさまざまな問題を解決するためには、論理的思考や戦略的な計画が必要となります。
これらの問題解決スキルは、現実世界で起こる問題解決にも役立ちます。
社会的スキル
オンラインゲームは、プレイヤー間のコミュニケーションや協力を必要とする場合が多い傾向にあります。
インターネット上であっても最低限のマナーや思いやりは必要です。
このような配慮は、現実世界でのチームワークのスキルを向上させるのに役立ちます。
忍耐力と持続力
ゲームはときに、困難なストーリーや強力な敵を克服する必要があります。
これらの克服には忍耐力と持続力が必要です。
現実世界の課題に対しても忍耐力と持続力は有効で、生きていく上でも非常に価値があります。
ゲームばかりの引きこもり脱却に向けて
eスポーツ(Electronic Sports)は、コンピュータゲームを通じて行われる競技のことです。
知略や戦略といったスキルが求められることからスポーツと捉えられています。
ゲーム好きであるならばチャレンジしてみたいものではないでしょうか。
就労継続支援B型作業所のeスポーツ作業では、大まかに下記の流れで支援を受けられます。
- ジャンルやタイトルの選択
- チームの結成
- トレーニング
- 大会参加
おおまかにこのような流れとなっていますが、チームの結成やトレーニングといっても、どこで何をすればいいのかが分からないですよね。
次の項目では、実際にeスポーツに取り組む団体について紹介していきます。
就労継続支援B型作業所によるeスポーツの取り組み!ゲーム好きを活かす道!
就労継続支援B型作業所は、障害をもつ方や引きこもりの方々が働くことを通じて社会参加や自立することを支援する役割を果たしています。
近年ではゲームばかりの生活の方に向けて、eスポーツやゲーム配信に力をいれている就労継続支援B型作業所もあります。
ここでは、就労継続支援B型事業所でのeスポーツの具体的な取り組みについて紹介します。
- eスポーツのトレーニング
- eスポーツの大会参加
就労継続支援B型作業所では、eスポーツの大会に向けたスキルアップのためのトレーニングを行います。
内容としては、技術を向上させるとともに、チームワークやコミュニケーション能力を養うことです。
また、大会への参加は自分のスキルを試す場でもあり、同時に社会参加の経験を積む場ともなります。
この他、就労継続支援B型作業所ではゲーム配信をするためのスキルや知識なども学ぶことができ、幅広い選択肢をもつことが可能となります。
元引きこもりの体験談!『ゲームばかりの生活から居場所を得るまで』
実際に就労継続支援B型作業所でeスポーツに取り組む、自閉症スペクトラムを抱えるAさんの体験談をお伝えします。
数年前まで引きこもりで、その原因は仕事場での上司からのいじめだったと言います。
「毎日心が折れそうなほどのストレスを感じていました。職場には障害があることを伝えていましたが、新たに配属した部署の上司は障害を理解してくれませんでした」
「限界を感じた私は仕事を辞め、自宅でゲームばかりしてほとんど閉じこもるようになりました。ゲームは手軽な逃げ道だったように感じます」
このままではいけないといつしか感じ、何とか生活を立て直そうと奮い立ったそうです。そこで、病院の相談員や先生、ハローワークの心理士に相談を繰り返しました。
その結果、Aさんは就労継続支援B型作業所に出会います。
「最初は新しい環境になじめるか怖く、ここに居ていいのかという不安もありました」
しかし、支援員と利用者という壁を感じさせない職員の方々や、他の利用者が自由に自分らしくいる姿を見てすぐに打ち解けることができたそうです。
今では、Aさんはこの就労継続支援B型作業所を家以外で力を抜くことのできる「居場所」と呼んでいます。
「ここでの経験が私の人生を豊かにし、自信を取り戻す助けとなりました。ゲームばかりなのは変わらないですが・・(笑)」
Aさんに辛い過去があるとは感じられないほどの笑顔を見せてもらいました。この話が、同じような状況にある方々の助けになれば幸いです。
さいごに|ゲームばかりの引きこもり支援のことなら就労継続支援B型作業所ワークスペースクローバーへ!
本記事では、引きこもりとゲームの関係性、そしてその問題解決のためのひとつの手段としてeスポーツがどのように活用できるかについて解説しました。
ゲームばかりの引きこもりの背景には様々な要因がありますが、ゲーム自体が問題なのではなく、その利用方法や環境が問題となっているケースが大半です。
就労継続支援B型事業所などの支援施設では、eスポーツを通じたプログラムが実施され、引きこもりの人々の社会復帰を支援しています。
この記事が、引きこもりの方やそのご家族にとって有益な情報となることを願っています。
京都府京都市内にお住いの障害者手帳をお持ちの方でeスポーツに興味のある方はぜひ、下記の入力フォームから就労継続支援B型作業所ワークスペースクローバーまでお問い合わせください。
【コンテンツ制作者】
コメント